この映画ではウィリス・H・オブライエンが恐竜シーンのアドバイザーをしており、『空飛ぶ円盤地球を襲撃す』(1956)の準備中でスケジュールが空いていたハリーハウゼンの参加が決まり、『猿人ジョー・ヤング』(1949)以来、約7年ぶりに師弟コンビが復活する事になった。オブライエンが恐竜のデザインと制作を担当し、ストップモーションは全てハリーハウゼンが担当した。特撮を担当した二人に与えられた時間は、わずか六週間だったという事です。

低予算のため、全てがセットの中で撮影されており、合成は一切使われていません。あくまでも、ドキュメンタリータッチの作品で、娯楽性を重視した作りになっています。「もしも先史時代に人間が存在していたら」という設定で、いきなり原始人が草食恐竜のブロントサウルスに食い殺されるシーンがあるのもそのためです。

アップで撮影された恐竜は機械で動かされるモデルであり、それがストップモーションの恐竜と交互に画面に出てくるので違和感は免れないのですが、火山の大爆発による地殻変動で地割れに恐竜が飲み込まれるシーンなども地面と一緒ににアニメートされているのには驚き。時間が無かったため、製作された恐竜のモデルは全て現存するものを型抜きして作ったレプリカであり、造型はいかにも人形っぽい仕上がりになってしまっているのですが、アニメーションに関して言えば、さすがにハリーハウゼンの仕事は丁寧だなぁ、という印象。

ブロンドサウルスが孵化するシーンはハリーハウゼン自身も気に入っており、このテクニックを応用した『地球へ2000万マイル』のイーマの誕生シーンや『シンドバッド7回目の航海』のロック鳥が卵から孵るシーンでは、さらに緻密なストップモーションを見せてくれる。

この作品全体は、ビデオ、DVDでは現在見る事が出来ないが、近年発売されたDVD『黒い蠍』の特典映像でハリーハウゼンがアニメートした恐竜の部分を見る事が出来ます。

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